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A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
講義内容一覧 (2016年度 東京工科大学実施)

第2回 ライブ・エンタテインメントの現在と理想の未来像

2016/10/4

第2回は、株式会社ディスクガレージ代表取締役社長であり、提携講座を開講する一般社団法人コンサートプロモーターズ協会会長の中西健夫氏が登壇。ACPCの役割や音楽の流行について年代別の解説から講義は始まり、後半にはライブ・エンタテインメントの現状と将来を考える大変興味深い講義となった。
コンサート市場の分析では「ライブの年間公演数、年間入場者数、年間売上高(市場規模)推移は右肩上がりで、市場としては非常に魅力的」としつつも、市場の大半が関東であることを懸念し、「大都市以外にどんどんフェスや大型イベントを誘致して経済効果を上げ、地方創生に結びつけたい」との展望を紹介。また、好調なライブ産業の本質的な課題として、少子高齢化によりエンタテインメント市場を牽引する若者層が急激に減少していることや、東京オリンピックの開催に伴う首都圏のライブ会場の不足、チケット高額転売を挙げ、「これらの問題解決に積極的に関わっていく」と語った。特にコンサートのチケットを買い占め、不当に価格を釣り上げて転売されている現状に強い警鐘を鳴らし、名だたるミュージシャンも参加した高額転売に反対する広告を打ったことにも触れ、「音楽を楽しみたい人が締め出される非常事態。このような現状が続けば当然市場はしぼんでいく」と指摘。高額転売を防ぐ対策や公式な二次流通システムなど、新たな対策を早急に構築することが重要と語った。

講師 中西健夫

一般社団法人コンサートプロモーターズ協会 会長/株式会社ディスクガレージ 代表取締役社長

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中西健夫

第3回 テレビは本当にオワコンなのか?

2016/10/11

第3回は、「進め!電波少年」をはじめ、「天才たけしの元気が出るテレビ」などの演出・プロデューサーとして多くの人気バラエティ番組を世に送り出してきた日本テレビの土屋敏男氏が登場。「テレビは本当にオワコン(終わったコンテンツ)なのか?」をテーマに講義が始まった。実際にテレビ離れをしているのかを数値で見ると、1997年と2015年の比較では全体として10ポイント減程度と減少の傾向は緩やかであるが、ティーン層に目を向けると1/3と大幅に減少していることがわかった。「ティーン層が大人になったときに、テレビ離れはさらに深刻化するだろう」と予測。テレビ離れの原因としては、テレビはあるときから「暇つぶし」に最適化するようになり、いつ見てもいいし、いつ見るのをやめてもいい番組が増えたと述べた。その代表がバラエティ番組だとし、続けて「今ティーン層はテレビよりも近い存在の暇つぶしとしてLINEやTwitter、スマホゲームを選択している」と分析した。「暇つぶしに最適化するのではなく、夢中にさせるコンテンツを作るべきだ。それが今後メディア企業が生き残っていく鍵となる」と説いた。コンテンツを流通させる要素としては「技術(テクノロジー)、ビジネス(マーケティング)、表現(クリエイティブ)」の3つが大切で、特に数値化できない「表現」が重要と述べた。最後にテレビは「何が売れるかだけでなく、何が面白いか、何を伝えたいかを考えなければならない」とし、ユーザーが変化しているのに、送り手側のテレビ局が進化できていないのが大きな問題だとして講義を締めくくった。

講師 土屋敏男さん

日本テレビ放送網株式会社 日テレラボ シニアクリエーター

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土屋敏男さん

第4回 ライフ

2016/10/18

今回で4回目となる提携講座の講師は、元キマグレンでミュージシャンのクレイ勇輝氏。講義のテーマは「ライフ」。自身の36年の人生をなぞった“波乱万丈”な話に学生たちは熱心に耳を傾けていた。クレイ氏がバンド活動を始めたのは、高校時代。きっかけは「好きな子がギターをやっていたから」だという。大学時代はハワイとニューヨークで過ごし、日本に帰国後は会社員となるが、2005年にキマグレンのメンバーであるISEKIに声をかけ、借金をして逗子海岸に海の家ライブハウス(音霊 OTODAMA SEA STUDIO)を立ち上げる。キマグレンもその流れで結成。ライブハウスで毎日ステージに立ち、インディーズでの活動を続けていた2人に転機が訪れたのは、2007年。夏にユニバーサルミュージックと契約し、翌年メジャーデビューを果たすとシングル、アルバムともに大ヒット。数々の新人賞を受賞し、紅白歌合戦への出場を果たした。その後も武道館ライブ開催や数々のタイアップ曲に起用されるなど、アーティストとして順調に歩んでいたかに見えたが、並行して運営していた会社の業績が思わしくなく、「多額の借金を抱えることになった」と語った。そして、会社をM&Aすることを決心。一度は成立しなかったものの翌年に逆転で契約が成立し、それを機にキマグレンを解散。ゼロからスタートすることになったという。現在は買収元の企業で取締役社長として「ここからが再スタート」だと語った。最後に学生たちには「人生は色々あった方がいいし、経験が多ければ多いほどいいと思う。だから失敗することを恐れてはいけない。どんどんチャレンジしてください」とアドバイスをした。

講師 クレイ勇輝さん

元キマグレン/株式会社音遊 代表取締役社長

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クレイ勇輝さん

第5回 アソビシステム

2016/10/25

第5回は、アソビシステム株式会社代表取締役の中川悠介氏が登壇。きゃりーぱみゅぱみゅに代表される「青文字系カルチャー」の生みの親であり、カワイイ文化を世界に向けて発信する中川氏から話を聴くことができるとあって、学生たちは真剣な表情で講義に臨んでいた。
「遊び場だった原宿で何かをやろうと、仲間とイベントを企画した」という学生時代。イベントを仕掛けるうちに人脈が広がり、プロデュースすることが面白くなって、エンタテインメントの仕事に携わりたいとの思いを強くしたという。その後、イベント運営を経て、2007年にアソビシステムを設立。「ブームを作ることよりも、カルチャーを創る」を理念に原宿を拠点に地域と密着しながら、ファッション・音楽・ライフスタイルといった「HARAJUKU CULTURE」を、国内はもとより世界に向けて発信し続けている。「僕は基本的に人が好き。これが自分の一番の武器だと思っています」と語り、アーティストからモデル、文化人などのマネジメント、イベント事業、海外事業、メディア運営、アパレル事業など、“人”を中心とした事業を幅広く展開しているのが企業の特徴だと述べた。また、仕事への姿勢として「僕らの仕事にはレールがなくてルールもない。歯止めも自分だしゴールも自分。だから仕事の一つひとつを当たり前のことにしちゃいけないと強く意識している」と語った。
最後には、現在手がけている日本のポップカルチャーを国内外に発信する「もしもしにっぽん」 プロジェクトついても紹介。「自分たちが仲間と創ってきたカルチャーを世界の人にもっと知ってもらいたい。だから自分たちの手でコンテンツを創っていくことが大事なんです」と述べて講義を終えた。

講師 中川悠介さん

アソビシステム株式会社 代表取締役

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中川悠介さん

第6回 ディズニーの7つのDNA

2016/11/1

第6回目の講義には、エンタテインメントの最先端を走るウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社のエグゼクティブディレクター、目黒敦氏が登場。ウォルト・ディズニー・ジャパンは、米国本社が展開するStudio(音楽・映画など)、Media(テレビ)、Consumer (グッズ)、Interactive(ゲーム・インターネット)、Parks & Resorts(パーク・ホテル)の5つの事業を日本で管轄するために設立された。
ディズニーのエンタテインメントが、なぜ世界中の人々を夢中にさせるのか? その理由を目黒氏は、「楽しさ」「物語性」「革新」「共同体」「前向きな精神」「品質」「品位」を大切にしてエンタテインメントを作りあげているからと解説。この7つはディズニーのDNAであり、これを守りながら商品作りをしている企業のスタンスを誇りに思うと語った。
今回学生たちを一番驚かせたのは、『ディズニー・オン・クラシック〜ジルベスターコンサート』を、全国無料のBSテレビ局で、史上初めて生放送すると発表したことだった。人気の高いコンテンツを無料で放送する理由について「このアイデアは、音楽とライブとメディア(テレビ)という三角形がエコシステム(複数のモノが有機的に結びつき、自然界の生態系のように循環しながら広く共存共栄していく仕組み)になっていくのではないか? という仮説から生まれた」と述べ、今回メディアで生放送を観た方が、次にチケットを買ってコンサートに行くとなれば、誘引したのはメディアであり、循環の中から収益を上げる仕組みが生まれたことになるという。「現代は家にいながらスマホであらゆる情報を手にすることができます。だからこそ僕らは、より人の心を動かし次の行動につながる情報を提供しなければならない。マーケティングとこの誘導というのは、成果を上げるために、より高いレベルで遂行する必要があるのです」と語り講義を締めくくった。

講師 目黒敦さん

ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 エグゼクティブディレクター

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目黒敦さん

第7回 グローバル社会の中の音楽コンテンツ

2016/11/18

7回目の講義は、メジャータレントを数多く抱える芸能プロダクションであり、CM・テレビ番組などコンテンツの制作も手がけるホリプロの代表取締役社長、堀義貴氏が登場。「グローバル社会の中の音楽コンテンツ」をテーマに、エンタテインメントの未来を担う学生たちに、日本の音楽コンテンツの可能性を説いた。まず、日本がエンタテインメントの中でどういう位置にいるかについての話では、学生に世界地図を描かせ、「日本が極東に位置されている世界標準地図があるのに、日本人が書くとなぜか日本が真ん中になってしまう。これを疑問に思うかどうかが大事であり、こうした位置関係を考えることは、エンタテインメント・ビジネスにとって重要だ」と述べた。さらにピコ太郎の成功は、日本語ではなかったからあれほどヒットしたと分析しつつ、世界市場を考えればコンテンツは英語で作るべきと訴えた。
将来の展望として、アーティストの海外進出も視野にあり、特に人口増加の著しい東南アジアでの競争はますます激しく、エンタテインメントを売り出すには、その土地や文化、また日本の文化を十分に把握し、それらをどう組み合わせるかが鍵になるとのこと。「10時間以内でいけるようなアジアの国々には30億人もの人が住んでいます。アジアへの進出はエンタテインメント業界にとって宝の山。地理的にも日本のエンタテインメント・ビジネスの未来は明るい」としながらも、アジアで渡り合っていくためには、英語を話せることが最低限の条件だと指摘し、学生にはぜひ英語の勉強を、とアドバイスして講義を終えた。

講師 堀義貴さん

株式会社ホリプロ 代表取締役社長/一般社団法人日本音楽事業者協会 会長

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堀義貴さん

第8回 アニメーションとライブ・エンタテインメント

2016/11/15

第8回目の講義は、株式会社アニプレックス代表取締役の夏目公一郎氏が講師を務めた。アニメーションに関する最新情報が満載で、学生たちは真剣に聴き入っていた。夏目氏によると、近年、アニメーションの現場では「製作委員会方式」が主流とのこと。「複数の会社がスポンサーとなるこの方式で、さまざまなリスクを回避できるようにしている」と語った。
さらにアニメーション業界の今後については、13万人以上を動員した世界最大級のアニメイベント「Anime Japan」や、水樹奈々が女性ソロアーティストとして初の甲子園ライブを実現させるなど、近年アニメを主体にしたイベントの人気が高まりつつあり、また『君の名は。』で話題になった聖地巡礼など、アニメ産業には、多くの可能性があると語った。
一方、日本のアニメに対し「クオリティの低下を危惧している」と述べ、政府への反乱や、宗教的なタブー、暴力や血の流れるシーンなどを避けるなど、オールマイティな物語を創ることもクオリティの世界標準をめざすうえでは大事としつつも、「そこで毒のないものばかりになると日本アニメの個性も失ってしまう」と指摘し、多様な方向性、多様な作品を揃えながら、世界のさまざまなファンのニーズに応えていくことが重要と語った。「今はいろいろな会社がアニメ業界に参入し本数が増えたものの、あまりにも供給過多。安易なものづくりが横行している」と警鐘を鳴らす。日本のアニメが人気なのはオリジナリティとクオリティが高いからであり、アニメ業界をめざす人には、多くの国に通じる世界基準をリードするクオリティを意識してほしいと語った。

講師 夏目公一朗さん

株式会社アニプレックス 取締役会長/一般社団法人アニメジャパン副理事長

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夏目公一朗さん

肩書きは講義当時のものです

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