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A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
講義内容一覧 (2014年度 東京工科大学実施)

第9回 学生だからできること

2014/12/2

第9回は、メディア学部の客員教授であり、音楽プロデューサーの松任谷正隆氏が登場。今回は「学生だからできること」をテーマに、松任谷氏と学生との取り組みついて語っていった。会場が多くの学生で埋まる大盛況のなか講義はスタート。今や定番となった苗場プリンスホテルで行われている松任谷由実『SURF&SNOW in Naeba』は、実は学生からのアイデアがきっかけでイベントへの参加が始まったのだという。その後も、学生のアイデアがそのままオフィシャルPVとして採用されたり、「POP CLASSICO」ツアーの一部演出を手がけることもあるとのこと。また、『SURF&SNOW in Naeba』のコンサート期間中にインターネットでコンテンツを楽しむことができる人気の有料サイト「Y MODE」も企画・立案から撮影・編集・配信まで学生が全てを行っていて、ネットでも高画質な映像が見られる昨今では学生にもプロのような映像の撮り方が求められているという。学生とコラボレーションする魅力について松任谷氏は、「学生は技術的なノウハウを知らないことが欠点だが、何も知らないという強さがある」。何かをするには、まず最初にアイデアが必要であり、現場にいるプロは、できることがわかっているから、ついその中でまとめようとしてしまう傾向が強いという。そうすると絶対に新しいことは生まれてこないもの。何をやるにしても奇抜さはとっても大事であり、だから学生の自由な発想のアイデアは、とても斬新で好きだと語った。

講師 松任谷正隆さん

音楽プロデューサー/日本カー・オブ・ザ・イヤー 選考委員/東京工科大学メディア学部 客員教授

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松任谷正隆さん

第10回 笑いとライブ・エンタテインメント

2014/12/9

10回目は、日本の笑いをリードする、よしもとアドミニストレーションの中井秀範氏が登壇。中井氏は、講義の最初に「コンテンツは水、メディアはペットボトルである」と例えた。つまり、水=コンテンツだけでは相手に届けることはできず、常に器となるメディアを介することでコンテンツは相手を楽しませることができる。吉本興業は大阪の劇場で寄席をしていたことから始まったのだが、創設当時、エンタテインメントの最新メディアであった「劇場」に目を付けたことが発展のきっかけになったという。当時の最新メディアも時代を経るごとに、やがては次のメディアに取って代わられるようになるが、吉本興業は「お笑い」というコンテンツが、時代やメディアの変化に左右されることを当時から予測して、劇場からレコード、ラジオ、テレビ、インターネットといったメディアの変化と多様化に対応するために、「お笑い」の性質も変化させてきたのだという。今後の展望としては、SNSをどのように取り入れていくかでビジネスのチャンスは大きく変わってくると断言。ネタをダイレクトに届けられ、しかも個人向けに発信できるSNSの利点を活用すれば、異なる年齢層やターゲットの多様なニーズに応えていくことが可能であり、芸人にとっても可能性を秘めたメディアであると語った。さらにエンタテインメントの市場が、日本だけでなく人口増加で活気のある東南アジアなどでも消費される傾向もあることから、SNSや海外進出は、「お笑い」の将来を切り拓くキーワードであり、積極的に活用したいと語った。

講師 中井秀範さん

株式会社よしもとアドミニストレーション/一般社団法人日本音楽事業者協会 理事

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中井秀範さん

第11回 アーティストとライブ・エンタテインメント

2014/12/16

第11回は、アーティストであり、音楽プロデューサーでもある高野寛氏が講師を務めた。講義は、音楽生活の中で感じてきたライブ・エンタテインメントについてアーティストの立場から語るとともに、随所にライブが組み込まれる内容で、学生たちも大いに楽しめた様子。デビュー25周年を迎えた高野氏だが、大学時代は音楽関係のエンジニアにと考えていたとのことで、最初からアーティストを志望していたわけではなかったという。デビューした頃はライブが苦手なタイプだったと振り返る。そんな高野氏の大きな転機になったのは、阪神淡路大震災。ニュースでしきりに「ライフラインが途絶えた」ということを聞いて「電気がなければライブができない」と意識するようになり、停電しても機材がなくてもライブができるアーティストになろうと決意。それが20年続く弾き語りスタイルの始まりだったとのこと。さらに、20世紀はCDありきの時代で、CDを出すことがミュージシャンの重要な使命であり、最大の収入源だったが、今ではライブがないと音楽業界は成り立たず、CDショップ経由のCD売上よりも、ライブの物販でCDを手売りする方が売上がいいアーティストがかなりいるというのが2014年の実情だとも語った。「中にはCDの売上を嘆くアーティストもいるけれど、レコードが発明される以前の音楽は、時間と場所を共有しないと体験できない儚いもの。再びその時代が巡ってきただけに過ぎない」。今はライブありきの時代だからこそ、Twitterへのライブの感想などはライブでの拍手や歓声に近い感動があるため、もっと積極的にSNSで反応をしてくれると嬉しいと語った。

講師 高野寛さん

アーティスト/音楽プロデューサー

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高野寛さん

第12回 コンテンツ産業の現状と今後の発展の方向性

2014/12/20

12回目の講義は、日本のコンテンツ産業振興に尽力する経済産業省の望月孝洋氏が登壇。国家戦略として発信されるコンテンツ産業の現状と将来性を考えていく興味深い講義となった。海外ではクールジャパンのもと日本の魅力としてコンテンツへの人気が高まっているが、それも国によって浸透率が異なり、非常にムラがあるのが現状とのこと。例えばアニメの輸出は2005年・2006年がピークであったが、近年はその半分ほどと売上が停滞しているのに対し、家庭向けのゲームソフトは、2013年には国内売上を上回るなど、コンテンツによって明暗が分かれているという。また、日本のコンテンツ産業は、他国のコンテンツ産業が右肩上がりなのに対し、少子高齢化によりほぼ横ばいとコンテンツの消費が落ちているとの認識を示した。このような状況の中、望月氏は「コンテンツ産業が大きく稼ぐクールジャパン戦略は非常に重要」と語り、この全体構造について解説を加えた。海外展開のイメージとして、日本文化や魅力に付加価値を加えたクリエイティブなコンテンツなどの文化産業を世界に発信することで、日本ブームを創出し、現地で稼ぎ、さらに日本を訪れ消費をしてもらうことで、日本の経済成長・企業の活躍、雇用創出につなげるというもの。この実現のために経済産業省では、プロデューサーの人材育成や国際共同製作技術補助金、コンテンツの海外展開支援会社の設立、総合コンテンツフェスティバル開催の促進支援などを行うと同時に、クールジャパン機構では民間機構ではできない拠点や流通網の整備などを率先して展開しているとのこと。そして、このようなコンテンツ・ビジネスを支えるのが経済産業省であるとまとめた。

講師 望月孝洋さん

経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課 課長補佐

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望月孝洋さん

第13回 ゆるキャラが拓くライブ・エンタテインメントの未来

2015/1/6

第13回目となる提携講座は、ゆるキャラで社会の活性化をめざす、ゆるキャラ®グランプリ実行委員会会長の西秀一郎氏が登壇。「ゆるキャラが拓くライブ・エンタテインメントの未来」をテーマに、ゆるキャラによる地域振興や行政の対応の違いについて講義を行った。例えば、くまモンは熊本県から活動費が下り、熊本にメリットのある商品であれば無料で使用できるのに対し、愛知県今治市のバリィさんは印刷会社から生まれたキャラクターのため、グッズの売上が活動費となっているなど、それぞれに活動環境の違いがあるとのことだ。現在ではさまざまなゆるキャラが注目され、人気が高まっているが、その背景には、東日本大震災以降、地域・コミュニティを大切にする強い意識が芽生えたことが理由であると分析。ゆるキャラのあり方として「目的(地域活性)ではなく、手段(キャラクタービジネス)として用いられるべきもので、全国で人気というより地元に浸透してこそ意味がある」と西氏。さらに、エンタテインメントは、人の潜在意識を飛び越えて人々に意識させなければならないものと定義し、その壁を越えないとエンタテインメントは成立しないと語った。無意識と意識しているのとでは、ノイズとメロディほどの違いがあり、それは昔からあった企業キャラクター(=無意識)とゆるキャラ(=意識)の立場も同じである、と説明した。また、西氏自身が21歳の時に人生が大きく変化した経験から、まさにそのタイミングであるといえる学生たちに、良い方向に人生をリセットして頑張れ!とエールを送っていた。

講師 西秀一郎さん

ゆるキャラ®グランプリ 実行委員会 会長/株式会社ゆるキャラ 代表取締役社長/株式会社ディスクベリー・ドット・コム 代表取締役社長

西秀一郎さん

第14回 CD市場とダウンロード市場の未来

2015/1/13

第14回は、日本で最も知名度のある音楽ヒットチャートをはじめ、さまざまな音楽情報サービスを提供するオリコン・エンタテインメント株式会社取締役、垂石克哉氏が登壇。オリコン・エンタテインメント株式会社は、それまで目に見えなかった人気を、可視化(=ランキング)して分かりやすくした草分け的存在として有名。講義では、今や毎週6,000万人が何らかのメディアでオリコンランキングに接触するなど、音楽業界において重要な役割を担う企業の設立背景や、創立者の思いなどが語られた。創立者である小池聰行氏は、大学在籍中から目に見える音楽ランキングの実現をめざしていたという。身体を張った調査を実施することで独自性と信頼性のあるデータを提供する会社の基礎を作った。垂石氏はランキングについて「あくまでも判断支援、ユーザー側の選択基準として活用されるべき」と語り、「アーティストの格付けやブランディング機能ではない」ときっぱりと言い切った。また、ランキングを作って、それでビジネスしている会社であるため、評価を蓄積して信用度をアップさせていかなければならないとも語った。その集計分析手法は、独自の価値観に基づいて作られており、他には類を見ないものだという。いまやオリコンのデータは200以上ものメディアで発信され、そこから社会現象になるようなヒット曲が生まれている事実があるように、その影響力や信頼性は高い。「関係者が求めているランキングは、音楽配信とCDの売り上げが合体したリアルなヒット感あふれるランキング」。将来的にその実現をめざすと語り、講義を締めくくった。

講師 垂石克哉さん

オリコン・エンタテインメント株式会社 取締役/オリコン・リサーチ株式会社 取締役

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垂石克哉さん

第15回 未来のラジオ放送

2015/1/20

最終回となる講義は、株式会社J-WAVE編成局次長 兼 編成部長の松尾健司氏が登壇。松尾氏はプロデューサーとしての立場から、音楽中心に番組を編成する都市型ラジオ放送局“J-WAVE”の紹介や、ラジオ番組の特性、ラジオ番組がどのように作られているかなど、ラジオというメディアの概略についてまずは解説。その上で、今回のテーマである『未来のラジオ放送』の内容へと進んでいった。現在、ラジオ番組の制作現場は大きく変化してきているという。インターネット配信に力を入れ、リアルタイムでリスナーの反応を番組に取り入れるため、Twitterなどのソーシャルメディアの活用も進んでいる。また、ラジオ番組と新たなデジタル技術が融合するなど、未来のラジオへと進化は加速しつつある。さらに、東日本大震災以降、人々のラジオに対する信頼度が高まり、社会を支えるインフラメディアとしての立ち位置が定まったこともラジオの未来にとって重要なことと語った。ラジオ番組のプロデューサーに求められるのは「世の中の問題を探し、解決策=企画を生み出す能力」と語った松尾氏。「常識にとらわれない。逆転して発想する」「既存のものをカスタマイズしてみる」「反対の角度から見たり、例えてみる」「大げさにしてみる」など、自身が数多くの番組づくりに活用した企画を立てるポイントについて伝授。企画力は才能ではなく後天的に身につけられるものであるから、愚直に積み重ねていくことが大事とのこと。そして最後は、仕事選びに大切なのは「なりたい職業より、やりたいこと」だというメッセージを学生に送って講義を終えた。

講師 松尾健司さん

株式会社J-WAVE編成局次長 兼 編成部長

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松尾健司さん

肩書きは講義当時のものです

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