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A.C.P.C.提携講座 講義録

A.C.P.C.提携講座 産業概論から実務的なビジネス論まで幅広いテーマの講義を展開
アニメ業界の最前線と課題

ライブエンタテインメント論東京工科大学実施

2017年11月7日

提携講座7回目は(株)アニプレックス スーパーバイザー、(株)KADOKAWA映像事業局戦略顧問の夏目公一朗さんを講師にお迎えしました。アニメ業界への就職を希望する学生が多いなか、今回で6年連続となる夏目さんの講義は「アニメ業界の最前線と課題」というテーマで行われました。長年、第一線で活躍する夏目さんのお話はまず『製作』と『制作』の違いから始まり、テレビアニメの制作費、劇場アニメの制作費とその回収、また、収益の種類などについて解説しました。そして今、アニメ業界が直面する課題を話され、学生にとっては、就活前に知るべき基本的な知識ばかりではなく、アニメ業界への就職事情など、大きなヒントを得た講義となりました。

学生は、大手のスタジオを目指すべき

夏目さんは、アニメ業界を目指す学生たちに対し就職ガイダンス的な内容で講義を構成し、まずアニメのビジネス構造を説明しました。

「アニメ業界には『製作』と『制作』があります。アニメの作品を作るために製作委員会があって、ここではみんなでリスクを分散させ、シナジー効果を狙って、ビデオメーカー、テレビ局、出版社、映画配給会社、制作スタジオ、レコード会社、広告代理店、ゲームメーカー、配信会社などが参加しています。『製作』は、主に組織運営のことを差します。製作委員会が、全体の企画を行い、資金調達と利益分配を考えます。そして責任者はビジネスプロデューサーになります。『制作』は、実際の作品作りのことを言います。作品のクオリティの責任者は監督で、作品・スケージュール・スタッフの管理を行います。この場合の責任者はラインプロデューサーです」。

続いて「制作が、みなさん、いちばん興味のあるところだと思います」と、動画、原画、CGなどアニメの制作現場について解説。

「大手スタジオでは多くの人が最初、動画を描いて修業を重ねます。これは、それを描かせている原画マンになるためのステップとして、スムーズな人間の動きなどを学ばせる教育なんですね。アニメは一つの作品に100名ぐらい関わっていますが、大手のスタジオはCG班を持っており、優秀な専門家が揃っています。全編CGのアニメを作るとなると、監督自身がポジションとしてはかなり上です。制作管理ですが、総合的なチームには、必ず監督ともう一つ、全体の納期管理と予算管理を行うラインプロデューサーがスタジオにいます。彼らは全体の進捗管理をします。例えば、与えられた総制作費を、監督が凝りに凝ってオーバーしてしまう可能性もあるので、それらも管理しながら監督も押さえなければならない。そして、その下にいわゆる制作進行といわれる人たちがいます」。

夏目さんは一人でも多くの後進を育てようと考えておられ、熱のこもった講義が続きます。

「動画マンにはフリーランスの方が多く、1枚描いて500円といった状況もあります。それは韓国、中国など海外の人件費の安い下請け業者に仕事を振られるからで、つまり動画マンは同じコストで戦わないと日本人に仕事がまわってこないという現状があります。ですから、私がみなさんに言いたいのは最初からそういう仕事を選んではいけないし、まずは大手のスタジオを目指すべきだと思います。日本でも有数のスタジオがいくつかありますので、そういうところを目指して欲しい。入社後しばらくは制作進行に配属となったとしても、それがあなたの生涯の仕事になるわけではありません。全体の流れを知るためには、いきなりパーツの仕事をやるよりも、どういう職種の人たちがいて、どういう特徴があるかということを学ばせるために、制作進行に配属します。ここからプロデューサーに育っていくことがよくあります」

講師 夏目公一朗さん

一般社団法人アニメジャパン副理事長
(株)アニプレックス スーパーバイザー/(株)KADOKAWA映像事業局戦略顧問

プロフィールの詳細

※肩書きは講義当時のものです

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